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久しぶりの更新で、ごめんなさい。

12月2日、ロプロプのみなさまがツアーを組んでくださり、名古屋市美術館と豊田市美術館で開催中の展覧会「青木野枝 ふりそそぐものたち」に行ってきました。

ほんとうは、展覧会の感想とか書きたいのですが、
青木野枝さんの作品をずっと見て来たわたしにとって、
言いたいことや思うことがいっぱいあるので、
長くなってしまうのが目に見えているため、
とりあえず、12月2日の展覧会関連イベント「対談 中原浩大(現代美術作家)×青木野枝(本展出品作家) 」のことを書きたいと思います。

今回のイベントは、
豊田市美術館のイベントの中でも、
比較的整理券がなくなるまで長かったですね。
もう残っていないかなと思っていましたが、なんとかゲットできました。
こんなこと、初めてでした。

さて、今回のイベントは、豊田市美術館にいくつかの作品が所蔵されている作家で大学の先生でもある中原浩大さんと、本展出品作家の青木野枝さんの対談でした。

【客層】
お客様のほとんどが、もうすでにお二人の作品を見たことある、または、お二人のファンの方々ばかりでした。だから、基礎知識よりも、お二人の最新情報だったり、お二人の掛け合いに期待している雰囲気でした。

【対談の流れ】
中原浩大さんのお話

青木野枝さんのお話

対談

【全体の感想】
今回の対談の目的はなんだったのかがわかりませんでした。
対談のコントロールができていなかったような。
だから、お客様が聞きたかったことがほとんど聞けず、なんだか時間だけが過ぎていき、最後の質疑応答にいっきにお客様の聞きたいことが殺到する羽目に。
これでよかったのでしょうか。
青木さんにとって重要なのは、鉄という素材で作品をつくること、自分で作るだけではなくてワークショップやイベントで鉄という素材を使って体験してもらうこと、コトバではなくて体感してもらうことではないかと、今回のイベントを通して感じました。

【中原さんと青木さん】
お二人が前回お会いしたのは、もう二十年以上前になるとか。
わたしが生きてる年月と近い間、お会いしていなかったのに、こんなに自然とお話できるのは、会わなくても、なにかしら刺激を与え、受けていたのでしょうね。
すごいと思いました。

【中原浩大さんのお話】
中原さんのお話では、過去に制作した作品やプロジェクトについて、丁寧にひとつひとつ説明していました。
その中で、青木さんが興味を示したのは、スクイーズマシンの作品と、ツバメの集団が空を飛んでいる写真の作品でした。

【青木野枝さんのお話】
中原さんのお話をもっと聞きたかったような青木さんは、
自分の作品についてお話しする時間をなるべく少なくして、早く対談に入りたいような。
だから、スライドのペースも速かった!!
中原さんがときどき質問したりしてくださったので、細かいところまで作品の想いを伺うことができました。
作品に対する変化がみられたのは、2002年から2003年頃。〈立山〉(簡単に言うと、誰かが使用したせっけんを使い、積んで作品ですね)という作品で、重さのないものを積むことに興味がわいてきたり、その人が使ったものがなくなっていくことに新鮮さを感じたり。「残るか残らないかが大事なのかな」これは、今でも青木さんが大事に思っていること。
2005年か2006年から〈空の水〉シリーズが始まる。作品だけを見てほしいのではなくて、展示空間全体、展示する空間(トリエンナーレだと、その土地に根づくもの)との共存を伝えたい作品が増えてくるのかなとスライドを見て感じた。この頃の作品を実見している人にとっては、今回の展覧会のように美術館で作品を見ると、どのような感じ方の違いがでるか、実感できるのかも。
現在は、作品を通して「かたまり。ぎゅっとつまったもの。黒い光。ちょっとこわいもの。」を伝えたいとのこと。

【対談】
この対談になって、お二人の作家としての「違い」を感じることができました。
ここがもっと聞きたかったです。
掛け合いがおもしろくて、メモをあまり取っていなかったので、確実にメモしていることだけ。
お二人の「違い」は、
「眺めているという感覚」
「彫刻、彫刻家のとらえ方」
にでてきましたね。彫刻の作家にとって悩む問題で違いがでてくる問題だと思うので、もっと他の作家の思いも聞いてみたくなりました。
対談で青木さんの発言で印象に残っているのは、
「私は一生懸命作っていないと辛い」
「作品をつくっているときから自分のものではない感じがするときがある。」
「手で持てるものだけでいい」
という3つのコトバが心に響きました。

もっといろんな話を聞きたかった!!!!!
# by shijimi0522 | 2012-12-04 00:17
昨日、ロプロプのイベントに参加してきました。

今回は、愛知県美術館の石崎尚学芸員をお招きして、 「美術の観客史から、観客の美術史へ」というトークイベントでした。


【客層】
同世代から親世代の方々までいらっしゃっていました。
ガツガツ前のめりの人というよりは、大人しい人が多かったです。会場の環境の影響かもしれないけど。
想像していたよりは多くの参加者がいましたが、興味がわきそうなトークテーマだったのでもっと人が集まってもいいのかなと思いました。

【石崎尚学芸員】
みなさまにとってどのようなイメージなのかな?
石崎さんが愛知県美術館に来て半年になるのですが、わたしの中ではまだ愛知県美術館のイメージは固まっていなくて、愛知県美術館の前に働いていた目黒区美術館のイメージが強いです。
目黒区美術館において石崎さんが企画する最後の展覧会になった「メグロアドレス」はすてきな思い出です。展覧会そのもの、目黒という土地性、イベントや広報の働きかけと何とも言えないほどのバランス性に深く感銘を受けました。


今回は、「メグロアドレス」のイベント以来、久しぶりに石崎さんにお会いするので、楽しみにしていました。


では、トークイベントの内容へ。

【 観客参加型】
近年、観客参加型のものが増えてきている。
東海三県で、観客参加型のものの事例として、
・アート亀山
・長久手アートフェスティバル などを挙げていました。
観客参加型のアートは、
1.制作プロセスに参加する
2.発表後にも作品に参加し続ける の2つのパターンを挙げることができるとおっしゃっていました。

【観客】
観客とは、とらえがたいものである。
観客は、
「芸術作品の鑑賞を一義的な目的として、体験の場に訪れる人」

近代となって「芸術体験を目的とした専門の場が誕生して初めて観客が誕生した」。


【わたしの感想】
東海三県でいうと、観客参加型のものとして、展覧会よりもアートプロジェクトで定着していますよね。
東海三県では、現代美術の展覧会が少ないという地域性だからかもしれないけど、観客参加型はまだまだ定着はしていないと思います。
観客参加型のメリット&デメリットとして、
・参加することにためらってしまってしまう
・参加しないといけない強制的な気がしてしまう(昨日の質疑応答で参加者からご意見がでていましたが)
・作品を「視る」ことで満足している人にとって、観客参加型のアートを「体験する」ことに慣れていない。「視る」ことをしてしまう
・観客参加型のアートに触れることで、作品に自分が加わることで、作家や作品に親近感を抱いたり、その場でしか経験できないことを体験することで展覧会の記憶が深くなる
などがあります。
観客が参加するのは強制するのはよくないし、あくまで参加は自由ですが、作品は「視る」だけではなくて、さまざまな楽しみ方があることを理解してもらうと観客には発見があるのではないだろうか。観客が参加すると、必ずなにかを感じるわけではありませんが。
観客参加型のアートは主に現代美術の作品で行なわれるものだけど、それ以外のものでも、作品を「視る」だけで終わらせるのではなくて、作品を「視る」→イベントに「参加する」→気になった作品を「調べる」→その作家の他の作品の展覧会を「視る」という流れなどがあることをわかっていただきたいですよね。作品を「視る」だけではもったいないですもの。
まだ感想がまとまっていませんが、とりあえず書いてみました。
# by shijimi0522 | 2012-11-09 09:36
昨日ブログに書いた愛知県美術館の「美しき日本の自然」展のイベントに参加してきました。

「学芸員おすすめの一点」というイベントです。
別名、「展示作品説明会」となっています。
このイベントは、各学芸員が、現在開催している展覧会に出品している作品の中から一点を選び、その作品と作家についてトークするものです。

この日の担当は、藤島美菜学芸員でした。
選んだ作品は、坂本繁二郎《海岸の家》です。

私は初めて参加したのですが、
参加者のみなさまはアートに大変関心のある方が多く、
熱気がすごかったです。

藤島学芸員のお話をいくつかあげると、
・坂本繁二郎は「馬」を描いた作家として知られている。
・この絵は、坂本繁二郎自身が切り取ってしまったもの。構図が気に入らなかったのではないか。
・人物画はほとんど描いていない。
など。

大学時代に、ブリヂストン美術館で坂本繁二郎の作品に出会い、
在学中にいろいろ坂本とその周辺の画家について調べていたわたしにとっては、
藤島学芸員のお話で特に新しい発見はありませんでした。

だけど、藤島学芸員のお話の至る所に「「愛知県美術館」としての坂本繁二郎」が見え、
個人としての見解よりも「愛知県美術館」としてどういう意味を持っているのかを大事にしてくださっていた藤島学芸員の想いに嬉しくなりました。参加者にとっては、もっと藤島学芸員の見解を知りたかったようですが。

坂本の研究において、どうしても有名なモチーフの「馬」を取り上げる傾向にある。
でも、馬以外のモチーフで気づくこと、モチーフ以外の着眼点で坂本の個性が見えるところがもっとあるのではないだろうか。
愛知県美術館で坂本の立ち位置はよくわからなかったけど、この作品はもっと重要視されるべき作品だと思う。作品が小さいから、作品のモチーフが馬ではないから、とかで作品研究がされないならさみしいな。

美術館の中には、さまざまな素材の、さまざまな作家の作品が数多く所蔵されている。
全部研究するのは難しいことだけど、
全く研究されない作品があるのはさみしいことのような気がする。
なにかと関連づけてでもいいから、研究してほしいな。
# by shijimi0522 | 2012-10-29 18:01
ご無沙汰しております。

私事ではございますが、
ようやくいろんな意味で落ち着きましたので、
ブログを再開したいと思います。

これからもよろしくお願いいたします。

ブログ再開第一弾は、現在愛知県美術館で開催中の展覧会について取り上げます。


愛知県美術館では、「美しき日本の自然」展を開催中です。

愛知県内の美術館や博物館では、最近館同士の「コラボ」が流行っています。
県立、市立、私立の壁を越えて。
展覧会だけではなく、イベントや広報スタイルにおいて、「コラボ」をする傾向もあります。
今回の「美しき日本の自然」展は、愛知県美術館と愛知県陶磁資料館との「コラボ」です。

愛知県内でも不便な場所と言われている愛知県陶磁資料館。
すばらしい企画展を行なっているのに、交通が不便ということで足を運んでくれる人は少ないですね。
そんな愛知県陶磁資料館にとって、絶好のチャンス!!!
陶磁器に興味があっても「遠すぎる!!!」という人や、「陶磁器は、鑑賞よりも実用よ!」という人にぜひ見てほしいと思います。

今回の「コラボ」では、愛知県陶磁資料館が所蔵する「陶磁器」と、愛知県美術館が所蔵する「日本画」の作品にみられる対比に注目です。
同じモチーフでも、素材が変わるだけで、表現方法も異なる。こちらに訴えかけてくるものも異なります。そういう「違い」「比較」をお楽しみくださいませ。

では、展覧会の感想を。

【客層】

来館者をみていると、50代以上が多いですね。
夫婦、友人同士で、一緒に共有しながら、展覧会を楽しんでいました。
20代から30代の人は、それほど多くないものの、一人でじっくりと対峙している姿が見受けられました。


【展覧会全体】

☆雰囲気
 展示ケースの光のみで、展覧会会場をめぐる。静かで、混んでいるのが苦にならないぐらい落ち着いている。

☆章パネル
 英語表記がないため不便。最近、足を運ぶ展覧会にはなぜかこの傾向が増えているのだけど、日本に関する展覧会だから、とか、客層に海外の人を見込んでないから、とかではなくて、必要じゃないのかしら。わたしの場合、日本語の文章がわからないときに、英語表記を読むとわかったりすることが多々あるので、今回の展覧会で英語表記がないので困惑してしまいました。もやもや。

☆展示の仕方
 展示の仕方はいたって普通である。各章ごとの決まりはきちっとしているのだが、どう来館者に感じてほしいとか、これを見てってよ!!という主張がない。


【展覧会の見所】

☆見所(その1)
 愛知県陶磁資料館で普段展示してくれない作品が出品されているため、愛知県陶磁資料館の常設に飽き飽きしている人は絶対に注目してほしい展覧会かも。この作品はこれを逃すと当分展覧会には出ないぞ!という作品もある。
☆見所(その2)
 第三章に、むき出しの作品が2点あり。


各章にわけてみていくと、

【第一章 秋草の美学】

☆キーワード:「秋草」
 秋草といっても、さまざまな種類があり、さまざまな表現がある。この展覧会に出品している作品は、「秋草」の表現のごく一部。

☆鑑賞ポイント
 この章では、最初に作品1つ1つを見て行くのではなくて、会場の雰囲気を一歩引いて感じた上で、気になった、また、目に入ってきた作品からみてほしいと思う。

☆疑問
 なぜ、この第一章に、秋草を持ってきたのかは謎。

☆オススメの作品
 ◎加藤唐九郎〈黄瀬戸縁鉢〉1958年
 ○西村祐信〈秋籬美人図〉江戸時代中期 紙本着色


【第二章 胸中山中】

☆キーワード:文人

☆鑑賞ポイント
 文人画といっても、風景の捉え方も描き方も異なる。その差は、掛軸が横並びになっているときに感じるものである。「なぜこのような描き方をしたのだろう」「この人は誰の影響を受けたのだろう。この人?いや、あの人?」というように感じて行くと面白いのかな。

☆雰囲気
 文人画のスペースだけ、熱が冷めている感じがした。人は立ち止まらず、歩き去って行く。


【第三章 美しき日本の自然】

☆キーワード:四季

☆オススメの作品
 ◎西内利夫〈白鷺〉から、中村兵陵〈芦に白鷺鶺鴒図屏風〉の流れで対峙すると、本当に白鷺が動いているように見えて、ゾクゾクっとした。こういう展示いいなー。
 ◎〈染付雪輪文瓶〉肥前・有田窯
# by shijimi0522 | 2012-10-28 16:26
昨日、静岡県立美術館にて開催中の展覧会、「カラーリミックス」に行ってきました。

同時に、会期中のイベントとして、特別講演会がありました。

☆概要
「若冲V.S.現代美術」
講師:山下裕二(明治学院大学教授)
5月6日(日) 14:00~15:30 当館講堂
※先着250名 無料

今回、東京を離れて初めて山下先生の講演会を聴くことができました。

☆講演会内容メモ

【講演会の内容】
ほとんど若冲についてでした。
若冲の人柄や作品、若冲の作品と現代美術の作家の比較など。

【客層】
現代美術よりも若冲のことが好き、
かつ、
若冲の研究者として有名な山下先生が好き
な方々が多かった気がします。

【若冲の作品】
山下先生は、若冲の作品をこう分析されていました。
 ・景和落款は若冲の初期にみられる
 ・若冲の模写的作品は元の絵よりも上手くなっちゃう
 ・毛描き1本1本の緻密さ
 ・どんなに拡大しても描くばえがする
 ・画像そのものが若冲の魅力
 ・まるで昨日描いたもののようにとらえることができる
 ・現代美術

【若冲と草間彌生の共通点】
 ・増殖
 ・制約

【山下先生の重要そうなお言葉】
・「今ここにある作品が重要なんだ」
・「制約のないところに芸術は生まれない」
・「何を評価の基準にするのか」

☆山下先生について

【多くの人に愛される山下先生】
山下先生の話し方や文章は、
専門分野以外の人にも一般の人にも
わかりやすくて自然とコトバが入ってくる。
山下先生のコトバからヒントをもらい、
調べたりとか展覧会を実見したくなる。
だから、多くの人が山下先生の発する言動や活動に興味をもつ。

【わたしにとっての山下先生】
山下先生の研究は、わたしの専門分野でもあるので、山下先生の活動は大変興味深く拝見しています。
・常にいろんなところにアンテナを張っている
・専門分野以外のことにもお詳しくて、取りくんでいらっしゃる
・引き出しの多さ
という点で特に山下先生を尊敬しています。
山下先生の授業を受けたいなっと思っていましたが、願い叶わず、卒業してしまいました…
いつか、山下先生と一緒にお仕事ができることを夢見て、行動しています。
# by shijimi0522 | 2012-05-07 12:42
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